本文
ここに伊方町議会第62回定例会を招集いたしましたところ、議員各位におかれましては、大変ご多忙の中、全員のご出席を賜り、感謝を申し上げます。
また、日頃から町政の推進に格別のご理解とご協力を賜り、厚く御礼を申し上げます。
まず、台風10号の被害状況についてご報告申し上げます。
一昨日から昨日にかけて接近した台風10号につきましては、発生後から猛烈な強さとなり、特別警報級に発達し接近する見込みであるという予報から、町におきましては災害対策本部の設置、避難所の開設などできる限りの体制で臨んできたところであります。
公共施設の主な被害状況につきましては、今のところ、伊方小学校校舎屋上防水シートの剥離、三崎小中学校体育館屋根の破損などであります。
昨日は台風通過後の強風、高波などの為、現地調査は様子を見ながら行ってまいりましたが、今後農作物の塩害なども非常に心配されるところでございますので、被害状況の推移を把握して適切に対処してまいりたいと存じます。
さて、私にとりまして、今任期最後の定例会を迎えることとなりました。
この4年間、議員各位を始め町職員、国・県・関係者の皆様、何よりも町民の皆様のご理解とご協力により、ここまで無事努めることが出来てまいりましたことを、この場から改めて心から感謝を申し上げます。
私は4年前「融和と発展」を掲げまして、町政に臨んでまいりました。
この4年間、至らぬ点もあったかとは思いますが、「融和」という点につきましては、この中で少しの前進はあったのではないかと感じております。
一方、「発展」につきましては若干の種まきは出来たとは思っておりますが、まだまだ課題山積であり、解決には道半ばであると感じております。
若干時間を頂戴いたしまして、この4年間を振り返ってみますと、
まず、地場産業である「農業・水産業」そして「観光の振興」 につきましては、柑橘栽培を中心とした農業、豊かな海に恵まれた水産業の振興策として、従来からの各種施設整備等はもとより、新たに「農林漁業振興基金」を創設し、身近で使いやすい補助金として、担い手が安心して就業できる環境づくりを進めてまいりました。
さらに産業振興としての観光対策につきましては、今年度完成いたしました伊方町観光交流拠点施設「佐田岬はなはな」を整備いたしました。今後、この施設を中心として、道の駅や温泉など各施設と連携し、より伊方町の魅力発信の相乗効果を上げる事が出来るよう、また、エネルギーの町、農業・水産業の町のPRを図り様々な人々が集う場所となるよう取り組みの強化を図って参りたいと考えております。
また、新たな取り組みとしまして「地域商品券事業」、「創業・企業支援事業補助」なども創設し、町内経済の活性化を図ってまいりました。
次に「子ども・子育て支援」 につきましては、「子育て支援ナンバーワンのまち」に取り組み、「結婚祝い金」を職種にかかわらず支給するよう拡充いたしました。
また、愛媛県が取り組む「子育て応援券交付事業」に関しましても、第1子からの制度拡充といたしました。
ハード整備としましては、「いかた学童クラブ」の移設を行い、手狭な環境と危険な移動を回避し安全安心な運営を行うように、新しく専用の建物を整備するものとし、今年度中の完成を目指しております。
次に「空き家対策」と「移住・定住対策」といたしましては、「定住促進奨励金」を創設しました。町内在住者の転出抑制を図る為の施策として、新築、改築などに対し最大100万円の奨励金を交付し、町内在住を推進するものであります。更に、「移住促進空き家活用住宅事業」を創設しまして、空き家を所有者から借り上げて改修し移住者に貸し出す事業に着手をいたしました。
移住・定住対策については他にも、都市部の人と企業などとの連携を深める為、「関東伊方ふるさと会」を創設いたしました。関東圏在住の伊方町出身者及び伊方町を応援する方を会員として設立し、地元と都市との連携を深めるものであります。
次に「教育環境の充実」 としましては、小・中学校全生徒への「タブレット整備」の完了など、IT環境の整備に努め、更に「各教室の空調設備整備」、「快適なトイレの改修工事」など、ソフト・ハード両面の教育環境の充実に努めたところであります。
更に、三崎高校の分校化阻止に向けた町の支援として、現在実施中のものも含め、寄宿舎の建設、公営塾の運営、バスの購入などの様々な取り組みが実を結ぼうとしているところでございます。
大きなイベントとしましては、「愛顔つなぐえひめ国体」の伊方会場として、成年女子バレーボール競技が行われ、4日間連日満員の大盛況でございました。会場の内外での、町民のボランティアスタッフによる心のこもったおもてなしに、選手関係者や会場に訪れた皆様に喜んでいただくことが出来ましたことに感激をいたしたところであります。
「防災、安全・安心及び生活支援対策」などとしましては、まず、「ヘリポート建設」があります。
就任当初から申しておりました計画として、新設及び既存施設の活用など、各方面との調整を図り順次実施をいたしております。
他には災害時に備えた「防災監視カメラの設置」及び、「ドローン整備」を行いまして、町内28ヶ所を常時監視出来る体制が出来るなど、有事の状況把握に努める体制を整えました。
生活支援対策としましては、デマンドバスを廃止し、「地域巡回バス」を開始致しました。デマンドバスの10年経過を機会に検証を行い、地域巡回バスの運行に改正したものであります。
地域巡回バスは、運行開始直後からも広くご意見を伺い、様々な改善を重ねるなど、地域の身近な交通の便として、今後も随時見直しを行いながら、より良い運行に務めてまいりたいと存じます。
更に、「高齢者運転免許証自主返納支援事業」の導入でありますが、高齢者の交通事故の減少を目的とし、運転に不安をもつ高齢者の運転免許の自主返納を支援するため、事業を実施いたしたものでございます。
任期中を振り返りますと早いもので、他にも様々な取り組みに努めてまいりましたが、いずれに致しましても、町の様々な課題に対しまして、一つ一つ丁寧にしかもスピード感をもって取り組むことの重要性を痛感したこの4年間でありました。
次に伊方発電所についてであります。
私が町長に就任した当時は、震災後の新規制基準をクリアした伊方3号機が再稼働を果たし、営業運転を再開した直後でございました。
この4年半ぶりの原子力発電所の運転再開が、町長としての責務を果たしていく上で、数々の重要な判断の場面に直面するということは容易に想像でき、身を引き締めてこれにのぞむ覚悟を持ったこと、そして、いついかなる場面においても住民の安全安心が最優先、と肝に銘じたことを鮮明に記憶しております。
その後につきましては、議員の皆様を始め、広く町民の皆様にも迅速な情報提供に努めて参りましたが、乾式貯蔵施設の検討開始や、1,2号機の廃止の決定、各裁判所によるそれぞれの司法判断、そして、記憶に新しい本年初頭の連続トラブル等、大小様々な事柄がありましたが、その都度、首長としての判断を行い、本日まで何とか対応ができたのではないかと思っております。
それから、立地町として電源三法交付金等を最大限に活用し、様々な事業を展開する一方で、町独自の財源として使用済核燃料税の課税制度が結実した事は、自主財源の確保という意味で一つの成果であったと思っております。
ただ、原子力発電を取りまく社会情勢はいまだ落ち着きを見せず、そのうねりが伊方町民に与える影響を鑑みますと、安全安心に関する取り組みに対しては常に厳しい姿勢で臨みながら、四国電力との共存共栄の道を模索し続けなければならないと強く思っています。
現在の伊方発電所を取りまく状況に関しましては、安全協定による事前協議の申し入れを受けている案件が2件、そして、数々の訴訟の行く末、特定重大事故等対処施設の工事、1号機の廃止措置等、様々な事柄が進行中であり、今後の社会情勢の変化や、国、県の動向を注視しながら、慎重な判断を行っていく必要がございます。
議員各位には、伊方町の原子力政策につきまして引き続きご協力・ご指導を賜りますようお願い申し上げます。
さて、今定例会に提案をいたします案件でございますが、
・報告案件 2件
・条例改正に関する議案 2件
・令和元年度一般会計及び特別会計の決算の認定 11件
・令和2年度一般会計及び特別会計補正予算 6件
・人事に関する議案 2件 でございます。
いずれも、町政を進める上で、非常に重要な案件でございます。
会期中よろしくご審議のうえ、ご決定賜りますようお願いを申し上げ、招集のあいさつといたします。
どうぞ、よろしくお願いいたします。