○伊方町議会基本条例
令和5年3月29日
条例第7号
目次
前文
第1章 目的及び最高規範性(第1条・第2条)
第2章 議会及び議員の活動原則(第3条―第6条)
第3章 町民と議会の関係(第7条・第8条)
第4章 議会と行政の関係(第9条―第11条)
第5章 自由討議の拡大(第12条)
第6章 議会及び議会事務局の体制整備(第13条―第16条)
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第17条―第19条)
第8章 災害対応(第20条)
第9章 継続的な検討(第21条)
第10章 補則(第22条)
附則
伊方町は、愛媛県の最西端に位置し、平成17年4月1日、歴史の異なる伊方町、瀬戸町、三崎町の3町が合併して誕生した温暖な気候と豊かな自然に恵まれた細長い半島の町である。
伊方町議会(以下「議会」という。)は、伊方町民(以下「町民」という。)から直接選挙で選ばれた議員によって構成される町民のための町政の決定機関である。
日本国憲法は、町長には執行権を、議会には議決権を与え、いわゆる「二元代表制」に基づき、お互いその権限を均衡させ、それぞれの独断専行を抑制し、適正で効率的な行政運営を目指す地方自治の組織と運営を保障している。
我々議員は、地方自治法(昭和22年法律第67号)の規定を遵守するとともに、議会は、町民の負託に応えるため、積極的な情報公開と町民参加の推進、町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)との緊張感の保持、議員間の自由な討議の展開、議会活動を支える体制の整備等について、この条例に定める規定を遵守し、公平性と透明性を確保し、真に豊かで活力のある町づくりを目指し、町民から信頼される品格と存在感のある議会を実現するため、ここに伊方町議会基本条例を制定する。
第1章 目的及び最高規範性
(目的)
第1条 この条例は、議会及び議員の役割を明確にするとともに、議会の活性化及び充実のために必要な基本的事項を定めることにより、町民の負託に応える議会を実現し、町政の健全な発展と町民生活の向上に寄与することを目的とする。
(最高規範性)
第2条 議会は、この条例を議会運営の最高規範として尊重しなければならない。
2 議会は、この条例を定める理念及び原則を遵守して議会を運営し、町民を代表する議員で構成される合議制の機関として、町民に対する責任を果たさなければならない。
3 議会は、議員に対し、この条例の理念を周知浸透させるために、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例に関する研修を行うものとする。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第3条 議会は、次に掲げる原則に基づいて活動しなければならない。
(1) 議会は、町の施策について意思を決定する議決機関であることを常に自覚し、公平性及び透明性を重視し、積極的な議会情報の公開により、町民に信頼される議会を目指し、説明責任を果たすこと。
(2) 議会は、町民の多様な意見を把握し、町政に反映させるための運営を行うこと。
(3) 議会は、町の意思決定機関として、町政運営状況の監視及び評価を行うこと。
(4) 議会は、町民に分かりやすい議会運営を行うため、これに関する条例、規則等を必要に応じて見直すこと。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、次に掲げる原則に基づいて活動しなければならない。
(1) 議員は、議会が議論の場であること及び合議制の機関であることを十分認識し、議員間の自由な討議を重んじること。
(2) 議員は、町政の課題について町民の意見を的確に把握するとともに、自己の資質を高める不断の研さんによって、町民全体の代表者としてふさわしい活動を行うこと。
(3) 議員は、議会の構成員として特定の地域、団体及び個人の代表にとどまらず、町民全体の福祉の向上を目指して活動すること。
(4) 議員は、伊方町政治倫理条例(平成17年伊方町条例第205号)による議員に求められる政治倫理と品位を常に自覚して行動すること。
(議長及び副議長の選出)
第5条 議会は、議長及び副議長の選出に当たっては、選出の透明性を確保し、町民に対する説明責任を果たすとともに、議会活動の方向性を明確にするため、その職を志願する者に所信表明の場を設けることができる。
(議長の活動原則)
第6条 議長は、議会を代表して中立かつ公正な職務の遂行に努め、議会の品位を保持し、民主的かつ効率的な議会運営に努めなければならない。
第3章 町民と議会の関係
(町民参加及び町民との関係)
第7条 議会は、全ての会議を原則公開とし、会議の傍聴者には資料の公開に努める。
2 議会は、地方自治法に定める公聴会及び参考人制度を活用し、議会の審議に反映するよう努めるものとする。
3 議会は、町民に説明責任を果たすとともに、町民の意見及び地域の要望を的確に把握するよう努めるものとする。
4 議会は、請願及び陳情の審査において、必要に応じて提出者に説明を聴く機会を設けることができる。
(議会の報告)
第8条 議会は、議案等の審議の経過及び結果について、広報紙等で町民に報告するとともに、町政全般にわたる課題について意見交換等を行う報告会などの開催に努めるものとする。
第4章 議会と行政の関係
(議会と町長等との関係)
第9条 議会は、町長等と常に緊張感ある関係を保持し、事務の執行について監視及び評価を行うものとする。
2 定例会での一般質問及び質疑は、広く町政上の論点及び争点を明確にして行わなければならない。
3 本会議における質問及び発言は、町民の目線で要点のみを分かりやすく述べ、中傷的、わい曲的発言は厳に慎み、品位ある発言に努めること。
4 議長からの要請により本会議に出席した町長等は、議長の許可を得て議員の一般質問及び質疑に対して、論点又は争点を明確にするよう求めることができる。
(議会審議における論点の明確化)
第10条 議会は、町長等が提案する重要政策について、論点を明確にして議論及びその政策水準を高めることに資するため、町長等に対し、次に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
(1) 政策等の必要性
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 総合計画との整合性
(4) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(5) 町民参加の有無とその内容
(6) 関係ある法令及び条例
(7) 財源措置
(8) 将来にわたる効果と費用及び財政計画
(予算及び決算における政策説明資料の提出)
第11条 議会は、町長が予算案及び決算を議会に提出するに当たっては、町長に対し政策別又は事業別の分かりやすい説明資料の提出を求めるものとする。
第5章 自由討議の拡大
(討議による合意形成)
第12条 議長は、「議会が言論の府」であることに鑑み、町長等の本会議、委員会等への出席要求を必要な範囲内にとどめ、議員相互間の討議の機会を多く設けるよう努めなければならない。
2 議長は、必要に応じて議員全員協議会を招集するが、議員全員協議会は打合せ又は意見調整の場であって、議決の場ではないことに留意しなければならない。
第6章 議会及び議会事務局の体制整備
(議員研修の充実強化)
第13条 議会は、議員の政策立案、政策提言等に係る能力向上を図るため、議員研修の充実強化に努めるものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野の専門家による研修会を開催することができる。
(特別委員会の適切な設置運営)
第14条 議会は、社会、経済情勢等により新たに生じる行政課題に適切かつ迅速に対応するため、特別委員会を積極的に設置し、運営する。
(議会事務局の体制整備)
第15条 議会は、議員の政策立案、政策提言等の能力向上を図り、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、議会事務局の調査及び法務機能の充実強化を図るように努めるものとする。
(議会図書室の充実)
第16条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努めるものとする。
第7章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第17条 議員は、町民全体の代表者としての倫理性を常に自覚し、町民の模範となるよう努め、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのない行動をしなければならない。
(議員定数)
第18条 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題及び将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を十分活用するものとする。
2 議員定数の条例改正案は、町民の直接請求による場合を除き、明確な理由の説明を付して委員会又は議員から提案するものとする。
(議員報酬)
第19条 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の課題、議会の果たすべき役割、将来予測等を考慮するとともに、町民の意見を聴取するために参考人、公聴会制度等を十分に活用した後に、伊方町特別職報酬等審議会の意見を尊重するものとする。
2 議員報酬の条例改正案は、町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き、改正理由の説明を付して委員会又は議員が提案するものとする。
第8章 災害対応
(危機管理体制)
第20条 議会は、災害時の緊急事態から町民の生命及び財産並びに生活の平穏を守るため、総合的かつ機能的活動が図られるよう、町長等と協力し、危機管理体制の整備に努めるものとする。
2 議会は、災害の緊急事態が発生し、伊方町災害対策本部が設置されたときは、別に定めるところにより活動を行うものとする。
第9章 継続的な検討
(検証等)
第21条 議会は、毎年この条例のとおり運営しているかの検証を議会改革特別委員会において行うものとする。
2 議会は、前項の検証のほか、町民からの意見、社会情勢の変化、法律の改正等を常に考慮し、必要に応じてこの条例の改正を含む適切な措置を講ずるものとする。
3 議会は、この条例を改正するに当たっては、町民に対する説明責任を果たすため、本会議において改正の理由を説明しなければならない。
第10章 補則
(条例に定めのないもの)
第22条 この条例の施行に関し、必要な事項は別に定める。
2 この条例に定めのないものについては、議長が議員全員協議会を招集し、その意見を参考にして決定する。
附則
この条例は、令和5年4月1日から施行する。