○伊方町再生可能エネルギー発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例
令和4年9月30日
条例第26号
(目的)
第1条 この条例は、伊方町環境基本条例(平成27年伊方町条例第20号)に基づき、再生可能エネルギー発電施設が生活環境、景観その他自然環境に及ぼす影響に鑑み、施設の適正な設置及び維持管理に関して必要な事項を定めることにより、災害の発生を防止し町民の生命及び財産の保護を図るとともに、良好な生活環境と自然環境を保全することを目的とする。
(1) 再生可能エネルギー発電施設 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第3項第1号に規定する太陽光又は第2号に規定する風力を電気に変換する設備及びその付属設備をいう。
(2) 再生可能エネルギー発電事業 町内において、太陽光発電施設を利用し発電を行う事業で、出力の合計が10キロワット以上(同一又は共同の関係にあると認められる設置者が、同時期若しくは近接した時期又は近接した場所に設置する太陽光発電施設の合算した出力が10キロワット以上となる場合を含む。)のもの、又は風力発電施設を利用して発電を行う高さが13メートルを超える事業で、出力の合計が5,000キロワット未満のもので、以下のいずれかに該当するものを除く。
ア 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物の屋根、側面又は屋上のいずれかに設置するもの
イ 電気事業者その他の者に電気を供給しないもの
(3) 事業者 再生可能エネルギー発電事業(以下「事業」という。)を行うものをいう。
(4) 事業区域 事業を行う区域をいう。
(5) 該当行政区 区域内に事業区域を含む行政区及び町の指定する行政区をいう。
(6) 近隣住民等 事業区域の隣接地等、事業に伴って生活環境等に一定の影響を受けると認められる者をいう。
(7) 周辺関係者 該当行政区及び近隣住民等をいう。
(基本理念)
第3条 本町における美しい自然環境、魅力ある景観及び良好な生活環境は、先人から引き継がれたかけがえのない財産として、現在及び将来の町民がその恵沢を享受することができるよう保全及び活用が図られなければならない。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、事業の実施にあたり、関係法令及びこの条例並びに関係ガイドラインを遵守し、地域との共生に支障を生じさせないように、事業が災害、自然環境、景観及び生活環境に与える影響について適正に精査し、災害防止並びに自然環境、景観及び生活環境の保全に十分配慮した上で、周辺関係者との良好な関係を保つよう努めなければならない。
2 事業者は、再生可能エネルギー発電施設(以下「施設」という。)の適切な設置及び維持管理に努めるとともに、計画的に資金を積み立てることその他の方法により、施設を維持管理及び撤去するための必要な費用を確保し、事業を終了する場合は速やかに施設を撤去しなければならない。
3 事業者は、事業の実施に伴い事故等が発生した場合又は周辺関係者と紛争が生じた場合は、自己の責任において誠意をもってこれを解決し、再発防止のための措置を講じなければならない。
(土地所有者の責務)
第7条 土地の所有者及び占有者は、災害の発生を助長し、又は良好な自然環境、景観及び生活環境を損なう恐れのある事業者に対して、当該土地を使用させることのないように努めなければならない。
(禁止区域)
第8条 町長は、土砂災害又はその他の災害が発生するおそれが極めて高いと認められる次に掲げる区域を事業の禁止区域として指定することができる。
(1) 地すべり防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の地すべり防止区域
(2) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の急傾斜地崩壊危険区域
(3) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の土砂災害警戒区域及び同法第9条第1項の土砂災害特別警戒区域
(4) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の砂防指定地
(5) 前各号に掲げるもののほか、町長が特に必要と認める区域
(抑制区域)
第9条 町長は、災害の防止、良好な自然環境若しくは景観又は歴史的、文化的価値、森林、農地等の保全のために配慮が必要と認められる次に掲げる区域を事業の抑制区域に指定し、事業者に協力を求めることができる。
(1) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第2号の国立公園及び同条第4号の都道府県立自然公園
(2) 農地法(昭和27年法律第229号)第4条第6項第1号イの農用地区域及び同号ロの集団的に存在する農地その他の良好な営農条件を備えている農地
(3) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条の保安林
(4) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第92条第1項の埋蔵文化財を包蔵する土地
(5) 建設省砂防課長通達(昭和41年10月14日)の土砂災害危険個所(土石流危険渓流・地すべり危険個所・急傾斜地崩壊危険個所)区域
(6) 前各号に掲げるもののほか、町長が必要と認める区域
2 事業者は、前項の規定により指定した区域を、事業区域に含めないように努めなければならない。
(周辺関係者への説明)
第10条 事業者は、施設の設置に関する事業計画について、当該事業区域の周辺関係者に対してあらかじめ説明会を開催するなど、当該事業計画に関する周知について必要な措置を講じなければならない。
3 事業者は、第1項の措置を行った結果、周辺関係者から意見の申し出があった場合は、意見を申し出た周辺関係者と協議し、対応しなければならない。
(事業の届出)
第11条 事業者は、事業を行おうとするときは、規則で定めるところにより、事業に着手しようとする日の60日前までに、必要な事項を届け出て、町長の同意を得なければならない。
2 事業者は、前項の規定により届け出た事項を変更しようとするときは、速やかにその旨を届け出て、町長の同意を得なければならない。
(意見書及び見解書の提出)
第12条 近隣住民等は、規則で定めるところにより、事業計画書に対する良好な生活環境及び自然環境等の保全上の見地からの意見書を、事業者が前条の規定による届出を行った日の翌日から起算して14日以内に町長を経由して事業者に提出することができる。
2 事業者は、前項の意見書に対する見解書を、意見書の提出日の翌日から起算して7日以内に町長に提出し、その見解書を公告し、及び縦覧しなければならない。
(再意見書及び再見解書の提出)
第13条 近隣住民等は、規則で定めるところにより、前条第2項の見解書に対する良好な生活環境及び自然環境等の保全上の見地からの再意見書を、事業者が見解書を縦覧した日の翌日から起算して7日以内に町長を経由して事業者に提出することができる。
2 事業者は、前項の再意見書に対する再見解書を、再意見書の提出日の翌日から起算して7日以内に町長に提出し、その再見解書を公告し、及び縦覧しなければならない。
(同意)
第14条 町長は、事業者の手続きが適切であって、事業計画が良好な生活環境及び自然環境等の保全上支障がないと認める時は、事業について同意するものとする。
2 町長は、事業計画について良好な生活環境及び自然環境等の保全上支障が生じるおそれがあると認められるときは、事業者に対し、その旨を通知するとともに、事業計画の変更を求めるものとする。
(同意の制限)
第15条 町長は、事業区域の全部又は一部が禁止区域又は抑制区域に存する場合又は近隣住民等の理解が得られない場合は、事業について同意しないものとする。
2 前項の規定にかかわらず、近隣住民等の理解が得られた事業で、当該事業区域の一部が抑制区域内に存するものについて、町長がこの条例の目的に照らして支障がないと認めるときは、この限りではない。
(審査)
第16条 町長は、第11条の規定による届出にあたっては審査を実施し、必要に応じて伊方町環境審議会条例(平成17年伊方町条例第146号)第1条の伊方町環境審議会に諮問することができる。
(審査基準)
第17条 前条における審査の基準は、次に掲げる事項について規則で定める基準とする。
(1) 施設の設置に係る防災上の措置に関する事項
(2) 事業区域の周辺地域における良好な生活環境及び自然環境等の保全に関する事項
(3) 施設の設計の安全性の確保に関する事項
(4) 周辺関係者との良好な関係性に関する事項
(5) その他町長が必要と認める事項
(審査結果)
第18条 町長は、第16条の審査が終了したときは、事業者に審査結果を通知するものとする。
2 町長は、必要に応じて前項の通知に意見を付するものとする。
3 事業者は、前項に規定する意見について、必要な措置を講じ、その結果を町長に届け出なければならない。
(事業の実施に係る届出)
第19条 事業者は、事業に着手、完了、中止又は再開をした場合は、速やかに町長に届け出なければならない。
2 町長は、前項の規定による事業の完了届出があった場合は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対して資料の提出を求め、職員に事業区域に立ち入らせて必要な確認をさせることができる。
(標識の掲示)
第20条 事業者は、事業着手時に当該事業区域内の公衆の見やすい場所に、規則で定める標識を掲示しなければならない。
(維持管理)
第21条 事業者は、事業を実施する間、災害及び自然環境、景観、生活環境等の保全上に支障が生じないよう、施設及び事業区域内を常時安全かつ良好な状態となるよう維持管理しなければならない。
(施設の廃止)
第22条 事業者は、施設を廃止しようとするときは、あらかじめ、その旨を町長に届け出なければならない。
2 事業者は、事業の廃止において行う措置を適切に行うとともに、施設の廃止が完了したときは、速やかにその旨を町長に届け出なければならない。
(立入調査等)
第23条 町長は、この条例の施行に必要な限度において、職員に事業者の事務所、事業所若しくは事業区域に立ち入り、若しくは調査させ、又は関係者に質問をさせることができる。
(指導又は勧告)
第24条 町長は、次の各号のいずれかに該当する場合は、事業者に対して必要な措置を講ずるよう指導又は勧告を行うことができる。
(1) 事業者が正当な理由なく、第14条の規定による町長の同意を得ないで設置工事に着手したとき。
(4) 事業者が第18条第3項の規定による届出を行わず、又は虚偽の協議等をしたとき。
(5) 事業者が第19条第1項の規定による届出を行わず、又は虚偽の協議等をしたとき。
(6) 事業者が第22条の規定による届出を行わず、又は虚偽の協議等をしたとき。
(7) 事業者が適正な設置及び維持管理を怠り、事業区域外に被害を与えたとき、又は被害を与えるおそれがあるとき。
(8) 前各号に掲げるもののほか、町長が必要と認めるとき。
(公表)
第25条 町長は、前条に規定する勧告を受けた事業者が、正当な理由なく勧告に従わない場合は、当該事業者の氏名及び住所並びに当該勧告の内容を公表することができる。
2 町長は、前項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ事業者にその理由を通知し、弁明を述べる機会を与えなければならない。
(国及び県への報告)
第26条 町長は、前条の規定による公表を行った場合は、当該公表内容及び公表の事実を国及び県へ報告するものとする。
(委任)
第27条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和5年7月6日条例第16号)
この条例は、公布の日から施行する。